■ 親から子へよみつがれる絵本 Part1 (2008.3.31発行)
紹介している絵本のリストは一概に何才向きということはありませんが読んでもらうなら3~4才、自分で読むなら小学校低学年が目安です。
![]() | ハリーは黒いぶちのある白い犬です。お風呂がいやで、お湯を入れている間にブラシを裏庭にうめて逃げ出します。工事場でどろだらけ、鉄道の陸橋ですすだらけ、石炭トラックのすべりだいでまっくろけ。ハリーは白いぶちのある黒い犬になって、腹ぺこで家に帰ります。家の人にはハリーだとわかってもらえないため、知っている限りの芸当をやってみせます。それから、かくしていたブラシを持ってお風呂に飛び込みます。ハリーは元の姿にもどれたのでしょうか? ハリーのまわりに描かれた猫、鳥、子ども、大人などが、優しい目でハリーを見守っています。 |
どろんこハリー
ジーン・ジオン/ぶんマーガレット・ブロイ・グレアム/え わたなべ しげお/やく 出版社:福音館書店 発行年:1964年 |
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![]() | 雪が降りつもる森で、おじいさんがてぶくろをかたほう落とします。個性豊かな小さい動物が、てぶくろに次々に住みついていきます。まず、ねずみがもぐりこみます。そこへかえるがやってきて「だれ、てぶくろに すんでいるのは?」「くいしんぼねずみ。あなたは?」「ぴょんぴょんがえるよ。わたしも いれて」と中に入り、動物たちによる楽しい問答がくりひろげられます。満員でいまにもはじけそうになったてぶくろはどうなるのでしょう? 入っていくたびに、煙突がついたり、窓がついたりしていく「てぶくろ」の変化と共に、ことばのかけあいあそび・ごっこあそび・リズムあそびと、絵本の世界で子ども達は心も体も楽しめます。 |
てぶくろ
エウゲーニー・M・ラチョフ/えウクライナ民話 うちだ りさこ/やく 出版社:福音館書店 発行年:1965年 |
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三びきのやぎのがらがらどん
マーシャ・ブラウン/え北欧民話 せた ていじ/やく 出版社:福音館書店 発行年:1965年 |
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![]() | スコッチ・テリアの子犬のアンガスは、とても好奇心旺盛。散歩の時に、きこえた庭の境の、いけがきのむこうのやかましい音が、何なのか気になってしかたがありません。ある日、ドアが開けっぱなしになっていて、皮ひもがはずれていたアンガスは外にとびだします。正体は二羽のあひるでした!アンガスが吠え追いかけると、あひるは鳴いて逃げます。追いついたアンガス。そして、両者が見つめあった後、ついにあひるが・・・。 知りたがり屋の元気なアンガスとあひるのなき声や動きが巧みに描かれて、幼い子どもたちも最後まで目がはなせません。 |
アンガスとあひる
マージョリー・フラック/さく・え瀬田貞二/やく 出版社 福音館書店 発行年:1974年 |
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![]() | あおくんは、ぱぱとままと暮らしています。たくさんのお友達のなかで、きいろちゃんとは、大の仲よしです。ある日、二人はばったりであい、うれしくてうれしくてみどりになってしまいました。遊び疲れた二人はそれぞれのおうちに帰っていったのですが・・・。「うちの あおくんじゃないよ」、「うちの きいろちゃんじゃないよ」と ぱぱとままはいいました。 作者レオ・レオーニはデザイナーであり、画家ですが、これははじめての絵本です。コラージュ手法のシンプルな場面で、人間の感情を、色と形で表現しています。 |
あおくんときいろちゃん
レオ・レオーニ/作藤田圭雄/訳 出版社:至光社 発行年:1967年 |
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![]() | おいしいものが食べたくなったおじいさんは、おばあさんにおだんごぱんを作ってもらいました。ほかほかに焼けて、窓のところでひやされていたおだんごぱんは、さびしくなってころころころがりだし、外へ出ていきます。野原で出会ったうさぎ、おおかみやくまに「ぱくっと たべてあげよう」と言われたおだんごぱんは、とくいげに歌を歌ってにげだします。きつねに歌をほめられたおだんごぱんは、うれしくなって・・・。 ほかほかに焼けた元気いっぱいのおだんごぱんが、簡素でリズミカルなことばと、素朴な色づかいで、表情豊かに描かれています。 |
おだんごぱん
せた ていじ/やくロシア民話 わきた かず/え 出版社:福音館書店 発行年:1966年 |
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![]() | 雪がしんしんと降っています。森の動物たちは、きびしい冬の間、長い眠りについています。ねむっていた動物たちは、次々に目を覚まします。おや?みんな、はなをくんくんしています。動物たちは、何かに誘われるように、いっせいにかけだしました。動物たちがかけよった、その先には・・・。 白黒の絵の中に、たった一輪咲いた黄色い花が、春の訪れと喜びを教えてくれます。静かな中に躍動感あふれる絵、リズミカルな文をもつあたたかいお話です。 |
はなを くんくん
ルース・クラウス/ぶんマーク・サイモント/え きじま はじめ/やく 出版社:福音館書店 発行年:1967年 |
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![]() | 昔、あるところにさびしく暮らしているおじいさんとおばあさんがいました。「うちに ねこが 一ぴき いたらねえ」というおばあさんの願いをかなえるために、おじいさんはねこを探しにでかけました。やがて、そこにもねこ、あそこにもねこ、ねこ、ねこ、ねこ・・・、ねこがいっぱいいる丘にたどりつきました。おじいさんは、どのねこもかわいくてまよいにまよい、とうとう全部をつれて帰ることにしました。さあ、おじいさんとねこの大行列です。 意表をついた結末が、最後まで読むものを楽しませてくれます。軽く韻を踏んだ昔話風の語り口と、100まんびきいそうなねこの絵は、子どもたちをおはなしの世界にいざないます。 |
100まんびきのねこ
ワンダ・ガアク/ぶん・えいしい ももこ/やく 出版社:福音館書店 発行年:1961年 |
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![]() | むかしあるところに、おかあさんやぎと七ひきのこやぎが住んでいました。ある日、おかあさんやぎは、「おおかみに くれぐれも きをつけておくれ」とこやぎたちに言って、森へたべものを探しに出かけます。すると間もなく、留守番をするこやぎたちの所へおおかみがやってきて、「おかあさんだよ」と言ってだまそうとします。こやぎたちは、おかあさんの言いつけを守って何度もおおかみを追い返しますが、とうとう戸を開けてしまいました・・・。 世界中に親しまれているグリム童話のおはなしです。はぎれの良い文章と、それにあったイメージをふくらませてくれる絵が、一層おはなしの世界を豊かなものにしてくれます |
おおかみと七ひきのこやぎ
フェリクス・ホフマン/えグリム童話 せた ていじ/やく 出版社:福音館書店 発行年:1967年 |
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![]() | 浜辺でひろったかきの種をかには大事に育てます。やがて大きな木になり、実がなりまっかに熟れだしました。けれども、かには取ることができません。さるがやってきて、赤い実は食べ、青い実をかににめがけてなげつけました。つぶれたかにのこうらの下から、かにの子どもたちがはい出し、さるをやっつけにゆきます。道中、ぱんぱんぐり、はち、うしのふん、はぜぼう、石うすがきびだんごをもらって仲間入り。にぎやかに、「さるのばんば」にやってきました。 リズミカルにお話はとんとん運びます。子どもの耳にも快い語り口で、絵も表情豊かです。 |
かにむかし
木下順二/文日本むかしばなし 清水 崑/絵 出版社:岩波書店 発行年:1976年 |
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![]() | ぼくはかみのぼうしをかぶり、らっぱを持って森へ散歩に出かけます。昼寝をしていたらいおん、水浴びをしていた二ひきのぞうのこども、二ひきのくま、かんがるーなどの動物たちに、次々に出会い、みんなといっしょに森を行進します。草のかげにいたうさぎも寄りそってぼくについてきます。はんかちおとしや、ろんどばしおちたもしました。そして、かくれんぼうで、ぼくがおにになり「もういいかい!」といって目をあけると・・・。 白と黒だけで描かれた絵は、森の深さや広がり、神秘性を感じさせ、静かな余韻が残ります。 続編「またもりへ」も読んでみてください。 |
もりのなか
マリー・ホール・エッツ ぶん/えまさき るりこ/やく 出版社:福音館書店 発行年:1963年 |
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![]() | ジオジオは、らいおんの中でも、一番強いらいおんです。ジオジオを見つけると、だれでもこそこそ隠れてしまいます。つまらなくなって、ジオジオは水の中をのぞきます。しらががはえて、目がよく見えなくなってきた自分がうつっていました。ジオジオは、そこでたまごをぬすまれたとりにであいます。ジオジオはとりに、かんむりの中でひなをかえすことを提案します。とりは、かんむりのなかにたまごをうんで・・・。 強くて皆から恐れられているジオジオが、頭の上で楽しそうにさえずることりたちの声を、うれしそうに聞きはじめたという、心あたたまる場面で終わっています。 |
ジオジオのかんむり
岸田 衿子/さく中谷千代子/え 出版社:福音館書店 発行年:1960年 |
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![]() | 王さまの一日は、大臣たちからの挨拶をうけることから始まります。でも、本当は退屈なのです。やっときた休み時間に王さまは、ぎゅうぎゅうづめのにわとり小屋の鍵を開けてしまいます。にわとりは逃げ出して大騒ぎ。犯人探しが始まりますが、王さまは自分だとは言い出せず、持っていた鍵を窓から捨ててしまいます。夕食は、それを見ていためんどりの産んだたまごで、めだまやきです。さあ、王さまがナイフをいれると・・・。 たまごやきがだいすきで、子どものような王さまのお話を、リズミカルな語り口と、赤をきかせたカラフルな絵で描き、ナンセンスの世界へ子ども達を誘います。 |
おしゃべりなたまごやき
寺村輝夫/作長新太/画 出版社:福音館書店 発行年:1972年 |
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![]() | ジョージは、かわいいこざるです。でも、とても知りたがり屋でした。ある日、住んでいた動物園の外が見たくなって逃げ出します。まず、バスに乗って町の中へ。スパゲッティーを食べ散らかし、ペンキで部屋を台なしにしたり、あちらこちらで騒動を起こします。ついには、怒った人達に追われて階段から飛び降り、足を折って入院するはめに。ジョージをアフリカから連れてきた仲良しの黄色い帽子のおじさんが、新聞記事でこのことを知って、さっそく、病院に駆けつけてくれます・・・。 まるで、私達の周りにいる子どもたちが起こすような、ジョージの大騒動。ゆかいな絵と共に、ハラハラ・ワクワクしながら楽しめます。 |
ひとまねこざる
H・A・レイ文/絵光吉夏弥/訳 出版社:岩波書店 発行年:1983年 |
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![]() | まりーちゃんとひつじのぱたぽんは仲良しです。まりーちゃんは、ぱたぽんが子ひつじをたくさん産んでくれたらと、空想がふくらみます。一ぴきなら、毛をうってすきなものを買おう。二ひきならくつを、三びきならぼうしを、四ひきならおまつりに行こう。五ひき、六ぴき・・・。そして、たくさんたくさんなら、家とじゅうたんを買おうと、子ひつじの誕生を待ちます。さて、生まれた子ひつじは何びきだったのでしょう。 この本は、娘が「ねえ読んで」と寝る前に必ず持ってくる本の一冊で、明るい色と歌のような調子のことばは、幼い子どもたちに親しまれています。 |
まりーちゃんとひつじ
フランソワーズ/文・絵与田準一/訳 出版社:岩波書店 発行年:1956年 |
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![]() | むかしむかし、いなかの静かなところに、ちいさいおうちがありました。春にはりんごの花、夏にはひなぎくが咲きました。秋にはりんごつみが始まり、冬には雪でまっ白になりました。長い間、ちいさいおうちはまわりのけしきをながめながら、幸せに暮らしていました。ところがある日、いなかの道を自動車がやってきました。測量がはじまり、ひろい道路ができ、大きな建物が次々にたちます。ついに、昼も夜も自動車や電車、人々がちいさいおうちの前をいったりきたりするようになりました・・・。 いなかの美しい風景と暮らし、どんどんかわっていく町の様子と共に、いかに自然が人間の生活に大切なものかを語りかけてくれます。 |
ちいさいおうち
ばーじにあ・りー・ばーとん/ぶんとえいしいももこ/やく 出版社:岩波書店 発行年:1965年 |